血流と身体

女性でいう冷え性がいけない理由というのは、単純に血液の量が低下することで、臓器の働きが悪くなるだけではありません。冷え性をもとに、栄養を運ぶことができなくなる、ホルモンの生成が悪くなる。体温が上がりにくくなる。
また男性も身体が冷えやすくなりますが、若いうちは感じることはないと思います。問題はストレスが異常にかかってくると、交感神経が興奮して血液の流れが悪くなります。これが、頻繁におきると血栓ができやすくなって血液がドロドロになりやすくなります。

ちなみに血液どろどろを漢方では「淤血」(おけつ)とかっこよく言います。淤血とは、一言でいえば「血液の粘度が高くなり、血の流れが悪くなった状態」です。私たちのこころや体をのびやかに保つためには、きれいな血液がいきいきと全身を流れていることが必要です。血液は人間の生命を支える重要な物質なのです。 ところが、この大切な役割を担っている血液が、体の各所に不調をもたらす元凶になってしまうことがあります

人間のからだは血液が運ぶ酸素や栄養によって生き生きと保たれています。この大切な役割を担っている血液の流れが悪くなると、酸欠や栄養不足となり、内臓や脳の働きを悪くし、いろいろな成人病を引き起こします。思考力も落ち、モノ忘れも多くなります。皮膚はつやがなくなり、シミやアザができるようになります。さらに、筋肉がこわばり、肩こりや筋肉痛の原因ともなります。

 淤血がひどくなると、極端な場合、血管をふさぎ血の流れをとめて、狭心症や脳梗塞をもたらすこともあります。病気が長びくと血流が悪くなり、淤血となり、ますます回復が困難になります。漢方には、「未病を治す」という重要な考え方があります。日頃の養生によって病気を未然に防ぎ、体調を崩す一歩手前の段階でくい止めようというものです。 現代の西洋医学では、検査のデータが優先するあまり、体調の変化や自覚症状だけではなかなか病気として認めてもらえないところがあります。検査データにはあらわれない病気の前段階、つまり「末病」の人には多くの場合淤血の傾向がみられます。漢方で「淤血」の考え方が重視されるのは、体の不調をいち早く見つけだすための、貴重な手がかりとなるためです。
 
体に発生した淤血を除去する方法を、中国漢方では「活血化淤(かっけつけお)」と呼んでいます。これはドロドロになった血液をサラサラに変え、うっ滞を取り除き、スムーズに流れるよう改善するものです。漢方薬の中には、血液の汚れを除去し、生き生きとよみがえらせる働きをもった活血化淤の薬がたくさんあります。

 この活血化淤の薬は、血液が滞るのを阻止する力をもった各種の生薬で構成され、できてしまった淤血を取り除くのはもとより、淤血の発生予防にもすぐれた効果を発揮します。
 最近は肉食中心の食生活で血管の老化が早まり、若い人にも成人病が増えています。人は血管とともに老いるといわれます。活血化淤の方法で血液を生き生きと流れるように保つことは、老化予防にもつながります。 淤血の予防は毎日の生活が基本です。適度な運動を行い、ストレスがたまらないよう心がけましょう。さらに、十分な睡眠をとり、いろいろなものをバランスよく食べ、生活環境(特に冷暖房)に注意することが養生法となります。

要は、子宝だけの問題ではなくなるという話です。

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